ニュースコピペ「子ヤギに会いたい」

子ヤギに会いたい…運転免許最高齢104歳が3輪バイク
2010年1月20日


石川政治さんが毎日通う小屋。ヤギに会うため、バイクは欠かせない=上小阿仁村沖田面



3輪バイクを運転する石川政治さん=上小阿仁村沖田面
 真っ白な雪の農道を、水色の3輪バイクが風を切って走る。運転するのは秋田県上小阿仁村沖田面の石川政治さん(104)。原付きバイクと小型特殊の免許を持つ、国内最高齢の運転免許所持者だ。かわいい「子どもたち」が「現役」を維持する秘訣のようだ。

 昨年の道交法改正に基づき、10月、石川さんは記憶力や判断力を測定する講習予備検査(認知機能検査)を受け、ちょうど真ん中の評価をされた。受験結果をもとに県警運転免許センターが警察庁に問い合わせたところ、国内最高齢であることが分かった。

 免許を取ってから40年、無事故無違反。現在、所有するのは3輪バイクと小型トレーラーだ。雪道に備え、今冬もチェーンの取り付けは自分でやった。走行速度は時速10〜20キロ。国道も通るが、ゆっくりと、安全運転を心がける。

 「運転が好きというよりも、ヤギの飼育に必要」と一緒に暮らす三男の富三さん(69)は話す。免許は、1日1〜2回、自宅から約1キロ離れた小屋で飼う、2頭の子ヤギに会うためのものだ。


 石川さんがヤギを飼い始めたのは約70年前。以来、家族の手は借りず、1人で育ててきた。多いときには5〜6頭飼っていたという。

 夏は田んぼで放し飼いにする。石川さんは大豆を栽培したり、牧草を刈り込んで乾燥させたりの農作業をしながら、冬のえさを準備する。冬は小屋の中に入れ、毎日、自宅からえさをやるために通う。

 雄と雌の2頭の子ヤギは昨年3月ごろ生まれた。が、まもなく親ヤギが亡くなった。まだ自分でえさを食べられないころだった。そこで、石川さんが牛乳を飲ませ、「母親」になって育ててきた。「毎日見てればあきないし、めんこいなあ」

 健康の秘訣(ひけつ)は「搾りたてのヤギの乳を飲むこと」。市販の牛乳よりも味が濃く、体にいいという。今は代わりに牛乳を毎日飲む。「子ヤギの成長が待ち遠しい」

 「もともと体は丈夫。記憶力もいい」と富三さん。ここ5〜6年は風邪も引かず、健康そのものだという。

 10月の検査では、シミュレーターを使った模擬運転の講習もあった。県北自動車学校によると、同じ検査を受けた70代の人たちに見劣りしない結果だったという。来月20日には105歳になる。運転に支障がないと判断されたので、もちろん免許を更新する予定だ。(笠井哲也)