お恥ずかしい話・その1

goro3582004-09-13

それはもう4年ほど前になるだろうか・・・。
夏の朝4時頃のこと。自宅で手作りビールをせっせと作っていた僕は、仕込み作業を終えて2階の窓から白んできた東の空を見やった時のことだ。
それは静寂の中、銀色に怪しげな光を発し、気づいてくれる人を待ち続けるように空に浮かんでいた。三島由紀夫の『美しい星』を夢中になって読んで現実逃避していた僕に手を差し伸べるべく、とうとう異次元からの誘いがやってきたのだ。躊躇はなかった。まばたきを忘れて、急いで車に乗り込んだ。「あの真下に行くのに3分もかからないだろう。」呼吸も忘れていたかもしれない。心臓も止まっていたかもしれない。果たして僕はその銀色の物体に確実に近づいた。小高い岡の上の新興住宅地の上でそれは僕を静かに待っていた。
ミサワホーム
30歳だった僕はミサワホームアドバルーンに搭乗することなく、それから先も地上の生活を続けることになる。
ああ、あれから4年か・・・。
もしあれが宇宙船で宇宙へと旅立っていたら、今頃僕はどんなになっていたのだろう。