日高山脈

goro3582005-01-19

今朝、出勤途中に日高山脈を眺めることができた。釧路からなら距離にして130kmくらいだろうか。空気が澄んだ朝に見ることができる。そんな日は「ツイテル」と思ってしまう。
学生時代、友人に日高山脈を見たと言ったら信じてくれなかった。距離も距離だし、山に興味がない人にとっては気にもとめたことがないだろうから仕方がないのだが、悔しいような寂しい思いをしたのを覚えている。
登山を教えてくれた杉田さんは、日本のあちこちの山を登った山師だったが「日高の山は世界広しといえども日高にしかない」とややこしいことを言っていた。要は日高山脈の威容は世界でも有数だと言いたかったらしい。
今時期の日高山脈は実に美しい。切り立った尾根から幾筋も稜線が伸びて純白の起伏が輝いて見える。
剣山、芽室岳、十勝幌尻岳、伏見岳、コイカクシュサツナイ岳、ペテガリ岳、神威岳、楽古岳、アポイ岳に登った。
あの野性味にあふれた山行はなかなか他では味わうことはできないだろう。
日高の名はアイヌ語ではなく「日高見」から来ているそうだ。なんともありがたく神々しい名だ。
その「日高見」は北上から、という説を聞いたことがある。日を高く仰ぎ見る、太陽信仰の象徴の地であって、自然の山がピラミッドのエネルギーを増幅して、岩の船を飛ばして世界中を行き来することができたのだと。北上山地は古代日本において神の国で、世界の中心として機能していたらしい。『遠野物語』にはその名残りとしかおもえないような神秘的な逸話の数々が載っている。大興奮して読んだものだ。当然僕は軽々しく岩手にまつわる不思議な話を友人にして、失笑をかった。
昔から突拍子のないことを言って、周りを不安にさせていたものだ。
今思えば、そんな自分が可愛くてしょうがない。
未だにその説を信じている。こんな自分が可愛くてしょうがない。