アルカリイオン水

すっかり体にイイのはアルカリ水なんて変な認識が定着してしまった。食物でもpHを調べるとほとんどが酸性の食品で、水だって中性のものが多い。人間の体は中性でも酸性でも体内に取り入れて、見事に弱アルカリ性に調整する。血液はpH値が7.35〜7.45を保つようになっていて、この範囲を超えると生命が危険にさらされるのだ。食品によって体が酸性やアルカリ性に傾倒する事はない。例えば、酸性食品ばかり食べて血液pH値が7以下の酸性を示すことはなく、逆にアルカリ性食品ばかりを食べても、アルカリ性になるのではない。
また、雨水は酸性(pH5.6以下)で、湧き水の多くは中性だ。河川の水がアルカリ性なら腐敗状況にあることを示している。概してフォッサマグナ帯から東日本では水が弱酸性で、西日本では弱アルカリ性だ。天然水はアルカリ性だと思っている人が多いのだが、実際はほとんどが中性なのだ。人体機能を無視してアルカリ水ばかり飲んでいると消化器官に不調をきたす。アルカリ水の注意書きには「成長期の方、お年寄りの方、風邪などで体調が優れない方は飲用を避けてください」とある。
スーパーでアルカリ水供給機を見ると「加熱調理用水」と注意書きがある。
アルカリイオン水を生成している裏では、酸性水が同じだけ生成されている。
そうして作られた酸性水には塩素化合物や重金属が濃縮されている。もちろん体にも環境にも害な水は排水として捨てられる。僕はワンネスの概念を説明するのに1+1=1の例として水を挙げるのだが、融和し一体化するものの象徴である水をアルカリと酸に分離し、片や体にイイようなことを言って客に渡し、もう一方を捨てて環境に負担をかけているのだ。