ハトのトーマス

ハトの「トーマス」

昨日、車を運転していて信号待ちしていたら、横(左車線)に道路上でエサをついばんでいる2羽のハトが見えた。「危ないぞ」と思っていたら、青信号に変わってすぐに、後ろから来た車がスピードを上げて左車線に移った。
1羽は逃げ遂せたが、1羽は轢かれてしまった。僕とももから同時に悲鳴が上がった。
ハトは激しく回転し、道路に転がった。
中央車線にいた僕はすぐ戻ってハトを保護した。幸い、後続の車に轢き潰されることなく済んだ。ハトはぐったりしているが、目立った外傷はないようだ。
脳震とうを起こしたせいか頭が小刻みに震えている。目がわずかに開いたりしているから命は助かったようだ。ハトをタオルにくるんで裏の小路にそっと置いて、奇跡の回復を祈って、立ち去った。
ももは一足先に戻り、僕が用事を済ませてから事務所に戻ると、そのハトは段ボールに入れられていた。
あの後、ハトはうずくまったままで猫やカラスに襲われる恐れがあったので、ももが連れ帰って来たのだ。
そのハトには「トーマス」と名づけた。
数年前に道路にうずくまっている子ギツネを見つけて保護したことがある。
意識も朦朧として、腰が抜けていた。車に撥ね飛ばされて骨折しているものと見当をつけて、手当てしてもらおうと役所や支庁に連絡したが引き受け先がなかったので、僕が一晩面倒を看た。段ボールの箱に入れてマイナスイオンの風を当てて枕元に置いて寝ていたら、なんと子ギツネは箱から飛び出して僕が寝ている布団の周りを走り回ったのだ。安心したのと眠いのとで、そのまま朝まで放っておいた。僕の足元で寝ている様子がたまらなく愛らしかった。
現場近くの山に放したら、子ギツネは数回僕の方を振り返りながら帰って行った。めでたしめでたし。
ま、そんなこともあったので、今回もマイナスイオンの風を当てて一晩置いていた。
今朝、箱を覗いたらトーマスは立っていた。
「復活っ!」
ももと現場近くにトーマスを放しに行ったのだが、トーマスは箱から出ようとせず、出ても箱に入ろうとする。
羽ばたかせてみたら、右の羽が伸ばせないでいて、ケガが治っていないらしい。
連れ帰って、飛ぶことができるようになるまで面倒を看ることにした。
トーマスは、抱かれても大人しい。なかなか可愛い奴だ。
◇写真◇箱の中のトーマス