魔法の言葉

どれどれ?

大工の田中ちゃんが都合が悪くなって来れなくなった。
急遽カメソのお父さん(プロの大工)に協力を要請した。カメパパは田中ちゃんとごろももがやりかけていた超アバウトな床張り工事の実態に唖然として、一時間放心状態だった。
何とか気を取り戻して、さっそく翌日からの手伝いを承諾してくれた。
カメパパは何せ40年以上の大ベテラン。大工っ気ゼロの僕が容易に手伝いの手を出すことなんぞ、もっての他なのだが、じっとしてられなくて、というか早く仕上げたい一心から大工作業に交わる。
ほとんど邪魔ばかりしているのだが、なんとか要領を教えてもらって作業に加えてもらった。
カメソが毎日、あれこれと差し入れを持って来てくれる。
2日目のこと、居合わせたももがカメソに「カメパパもごろちゃんが使えない奴で困ってるでしょ」と言うと、「いや、パパはごろちゃんは大したものだよ、って褒めてるよ。」と言ってくれた。
そんなことを言われたことは人生で初めてだったので信じられないし、カメパパが勘違いしている(對馬さんがやっていった仕事を僕のものだと思って評価している?)のだと思った。
それからというもの、僕は妙にヤル気が出て積極的に働くようになった。
理性的で超クール(冗談)な僕は簡単には他人におだてられることなない。(勘違い?)
それが、材を運んでいる時でも、釘を打っているときでも頭の中で「大したもの」という言葉が繰り返し現れるのだ。
今まで何かやるにつけ中途半端で「使えないね〜」とばかり言われていたのに、たった一言で気持ちが変わるというのは驚きの体験だった。