伊勢への旅・その4

二見浦から伊勢神宮外宮へ入り、そこでいよいよツアーに合流する。

■5日目 3月7日(土)

古来から伊勢参りには二見浦から入るというのが慣わしだったそうだ。
二見浦での海の禊いで、伊勢神宮五十鈴川で禊ぐという順番。
竹田研究会のツアーは直接、伊勢神宮に入るので、僕は二見浦から伊勢参りを味わわせていただくことにする。
日の出は6:16だというから5:50、白褌に作務衣を着て出発。
ホテルからは、日本の砂浜100選に選ばれた海岸沿いに歩いて約10分。
今日もやっぱり寒い。風が強くてキツイなぁ。
二見興玉神社には日の出を拝もうと、参拝客が数組集まってきていた。

禊の行場があったが、参拝路のすぐ足下にあり、1人で褌一丁になるには勇気が足らなかった。
波と風が強くて、危険を感じたので、こそこそっと移動し、砂浜に裸足で立った。
海水の冷たさに驚き、祝詞を読み上げて、すぐに切り上げてしまった。
ここ二見興玉神社でも去る猿田彦大神を御祀りしている。
お使いの蛙さんたちもたくさん見ることができる。
ここの風物詩として有名なのが、夏至の日の出だ。
ピッタリ、富士山の背後から太陽が現われるので「ダイヤモンド富士」を拝むことができる、らしい。
 ※梅雨時期なので見られる確率は相当低い、らしい。

ホテルに戻り、優雅に朝食をいただく。
二見浦駅から伊勢市駅へ。
月読宮に行った後は、昼食に伊勢うどんをいただこう。
有名な「まめや」さんを探すも、すっかり迷って1時間近くトボトボ歩き続け、やっとたどり着くことができた。
伊勢神宮正式参拝に際してスーツ着用が伝えられていたが、ナゼか腹回りがキツくなっている。
歩いて腹を少しでも引き締めよということだったのか・・・。
外宮の前にあるカフェでコーヒーを飲んでいると、札幌のH氏から電話があり、ここで合流することになった。
H氏とA氏もまた、札幌からここ外宮でツアーに合流するのだった。
中合流者が僕だけじゃなくてヨカッタ。

さぁ、とうとうツアー本隊と合流だ。
団体がゾロゾロと手水舎になんとなく集まった辺りで、何やらザワつき始めた。
安倍元首相夫妻のご登場!

竹田殿下と安倍氏が挨拶を交わし、一同大興奮の巻だ。
何せここに来るまでバスの中では、竹田殿下が安倍氏官房長官だった時の偉大な功績について講義していたのだから一同の驚きようと言ったら大変なものだ。
安倍氏は、小泉氏が天皇家を破壊すべく暴走していたのを見事に諫めることに成功したのだ。
僕自身も安倍氏を尊敬しているのだ。
安倍氏を取り囲む人垣が切れて、ポツネンと1人でいる僕のところへ安倍氏が進んできて、握手をしてくれた。
感動のあまり、「ありがとうございます」以外、何も話すことができなかった。
昭恵夫人もしっかりと目を合わせて挨拶していただいた。
昨年4月10日にダライ・ラマ14世が日本に立ち寄ったときには、日本人では唯一、昭恵さんが面会していた。
チベットと中国が深刻な対立にある中で、日本政府関係者は中国からの反発を考慮して誰1人、ダライ・ラマ14世との面会を避けていた。
さすが、安倍夫妻はやることをしっかりやっているなぁ。
ありがたや〜。

我等はそれから外宮正宮へ参拝。
正宮の入り口の門には3m四方の白い布がかかっていて、神聖なる奥が見えないようにしてある。
見ていると内側から風が吹いているようで、白い布が動いてめくれている。
僕が正面に立ったときには、全部めくれあがっていた。
2003年と2007年の2回、ダライ・ラマ14世伊勢神宮を参拝しているが、2003年の時にはその白い布が板のようになったまま、全部めくれ上がった状態が1分間も続いたのだという。
フシギなことが起こるものだ。

緒方拳氏は亡くなる半年前に自分のルーツを探して、大分県の緒方神社を訪れていた。
肝臓ガンの痛みの中、「ここがおれのルーツかぁ」と感慨深い表情をしているのをNHK「にっぽん巡礼」なる番組で見た。
その時、境内に一陣の風が吹き、彼は「歓迎されてるな」と呟いたそうだ。

僕も一昨年、自分のルーツへ旅したときには素晴らしく楽しいご褒美をいただいた。
そして、伊勢参りとは日本人のルーツを求める旅なのだ。
 (大和人は大神神社ということになるのかな?)
だから皆、伊勢参りには感慨一入なのだろう。

さて、白い布が上がって招かれたように、正式参拝で正宮に入ることになった。
ここでは日本人なら誰でも神聖な気持ちになることだろう。
感謝感激。
豊受大神が祀られているのだが、はるか昔から眞名井原に豊受大神を祀っていた元伊勢の籠神社の由緒略記によれば、豐受大神またの名を天御中主神国常立尊倉稲魂命稲荷大神)と云うとある。
それはそれは偉大なる神様なのだろう。
天下万民の糧となる食物を司るとされているワケで、僕は仕事をする上でいつも豊受大神に感謝している。
ありがたや〜。
我等の後に正式参拝を済ませて出て来た安倍夫妻と、我等全員で記念撮影をさせていただいた。

内宮へバスで移動する。
今晩は神宮会館に泊まるのだが、ここは国道23号線の終点だ。
昨日、名古屋から国道1号線を通ってきて、ここで23号とは、1・23とうまく繋がっているものだ。
23号線は例の愛知県豊橋市が起点で、ここ伊勢神宮が終点になっている。

夜は神宮会館で竹田殿下と、北海道神宮の角田宮司による講義が行なわれた。
今日の安倍夫妻との出来事は、まさに神計らいだと竹田殿下も口にした。
3分も違えば、あのように安倍さんとのご挨拶は叶わなかったかもしれないのだ。
「こういうことは計算してできるものではない。」の言葉に全員が大きく頷いた。
角田宮司からは、明日朝の五十鈴川での禊についての講義。
僕は一昨年9月に北海道神宮で初めて正式な禊行に参加したが、その朝は異例に5度にまで冷え込んだ。
あの寒さと水の冷たさは大変なものだった。
今回も気温は6度と予想されていて、またもや厳しいものになるのだろう。
ガクガクブルブル。
その夜は、緊張の余り布団に入ってもロクに眠れなかった。