伊勢への旅・その5

今年の正月3日に「ビートたけし人生初の伊勢神宮参拝」なるテレビ番組があった。
それが素晴らしい内容だった。
竹田恒泰氏が出演していたせいかもしれないが。
ジャポニカロゴス」に竹田氏が出演した時も素晴らしい内容の番組だった。
R30」に竹田氏が出演した時は、番組史上最高の視聴率になったという。
ま、そんなこんなでビートたけし伊勢神宮を正式参拝して真摯な発言をしたお陰で、一部の日本人が目覚めたのだ。

■5日目 3月8日(日)

朝5:30。気温はやっぱり6度ほどしかなく、寝起きの体にはことさらに寒い。
まだ暗い中を我等団体、五十鈴川禊隊が神宮会館を出発した。
河原で服を脱ぎ、褌一丁になった。女性はもちろん、白装束ありで。
角田宮司が先導して鳥船を行った。
風がヒュ〜と吹き、コレはたまらないと思い、「風を止めさせ給え」と念じた瞬間に無風になった。
「エィッ!」と気合を入れて、川に入る。
身を切るような冷たさだが、角田氏は肩の深さまで入ってしまった。
何人かが続いて水中に身を沈めた。
僕は恐怖のあまり、ヒザまでのところで踏みとどまった。
大祓詞を読み上げるのだが、あまりの冷たさに頭が真っ白になったのか、祝詞が途切れてしまったほどだ。
43名が禊で水中に入ったのだが、スゴイ気が張り詰めているのが分かってウレシかった。
河原に上がり、再び鳥船の行を行なった。
こんな体験はそうはないだろう。
人生の宝物がまたひとつ、加わった。
禊とは、身を削ぐの意がある。
水を注ぐ、でもある。霊(み)注ぎ、でもあるのだということを実感できた。
川の水はとても冷たかったが、川に入ると不思議と流れが全然感じられなかった。
流水では余計に冷たさが増すものだ。
流れが止まっているように感じた、と何人かが口を揃えた。

朝食を済ませて、内宮の神楽殿へ。
8:30「御神楽奉奏」。
御神楽では最高級の3曲が奏上された。
最後の舞には「蘭陵王」なる朱色が鮮やかな着物をまとった方が登場した。
アニメ「エヴァンゲリオン」のEVA弐号機にしか見えない・・・。
三島由紀夫の「蘭陵王」とこの舞の関係も気になるなぁ。

聞くところによると、100万円以上奉納しなければこれほどの神楽はお目にかかれないのだとか。
もちろん、我等はそんな大変な金額は奉納していないし、旧皇族竹田宮とあってもそこまで優遇されるとは考えられない。
なんと、同席した某会社が大変な金額を奉納していたことが分かった。
彼らのお陰で、我等は幸運に与ったワケだ。
それも本来、こんな早い時間での神楽は行なわれない。
たまたま我等のスケジュールが過密で、この早い時間しか取ることができなくて、神宮へ無理をお願いしたところに、某会社さんが偶然加わったというのだ。
まさに、神計らい!
神楽を鑑賞した後は控え室へ招かれ、お茶菓子とお茶をいただいた。
その控え室は閣僚・大臣クラスのみが入ることを許されるところであった。
続き隣りの部屋は、国家元首用の間だ。
いやはや、ありがたや〜。

お次はメインイベントその3の内宮正式参拝だ。
正宮への石階段を登るとまたしても、3m四方の白い布が風に吹かれているではないか。
あのダライ・ラマ14世が参拝した時にも、この布がめくれ上がったと話題になった。
ありがたや〜。
外宮参拝に続いて、内宮でも全部めくれ上がって、中をのぞかせていただいた。
ま、正式参拝でどうせその先、中へ入らせていただくのだが。
玉石を踏みしめ、いよいよ天照大神の御前に立つことができた。
ビートたけしのあの言葉。
「商売繁盛や家内安全なんていう俗な言葉なんか出てきやしなかったね。世界平和としか祈りの言葉は出なかったよ。」
分かりますよ。
我等はそこに「天皇弥栄(スメラギイヤサカ)」を祈りに行かせてもらったワケだ。
日本人に生まれて良かった!

神宮会館に戻り、竹田先生の講義を受けて、昼食を受け取ってバスに乗り込み、比叡山延暦寺へ向かった。
車中では久野先生の講義を聴くことができた。
大阪国際大学政治学講師である久野氏の話す内容はどれも素晴らしかった。
竹田氏も久野氏も30代前半の若さなのだが、これからの日本を支える強力な柱であると確信できて胸が熱くなった。

日本の仏教の中心地、比叡山へ入った。
空には怪しく暗い2条の影が伸びていた。

立派な延暦寺会館にチェックインして根本中堂をひたすら寒い中で観覧した後は、会議室に戻り、毘沙門堂門跡による講義があった。
天皇天台宗の歴史を語られていたようだが、フシギと内容がさっぱり伝わって来ず、すっかり居眠りしてしまった。
ハッと起きたら、そこから俄然と話が面白くなった。
門跡様は「新しい歴史教科書をつくる会」に参加されていて、中国の現代事情を的確に把握されている旨の話になった。
世界平和を祈るシンポジウムにも参加された折、中国からも招かれたが、彼は中共政権下にある内は中国には行かないという意思表明をされたところで、聴講者からは拍手が沸き起こった。

それにしても立派なホテルである。
夕食は完璧な精進料理だった。
伊勢の神宮会館では、食事に肉が出されて、仲間に食べてもらったりしたのだが、ここではすべて大好物で感謝感激!
そして、参加者各位から寄付が集まり、夕食時にビールや酒、ジュースも振舞われた。
ありがたや〜。
このツアーには途中参加した身分でほとんど誰とも話しすることなく、ここまで来たが、宴会っぽくなったところで数人の紹介があった。
日本酒の伝統を守る仕事をしている方や着物ライフコンサルタントやジャズシンガーや医学博士、デザイナーなど多彩な顔ぶれだということが初めて分かった。
また北海道からの参加者は今回10名(札幌9名、釧路1名)だったが、他府県からの参加者でも実は北海道出身という方が結構いたのだ。
大浴場が10時までだということで、宴を中座してしまったのが悔やまれる。
その大浴場からの眺めがまた素晴らしかった。
琵琶湖を足下にして遠く美しい夜景が眺められる贅沢な入浴を楽しんだ。
誰よりも早く寝るべく布団にもぐりこんだのだが、近くの部屋で盛り上がっていた。
後で聞くと、参加者中一番若い女性が軍歌を歌いまくっていたそうだ。
感心感心。
バス中で久野氏が言っていたが、太平洋戦争でツライ目に遭ったとか、いわゆるA級戦犯たちを憎んでいるとか、日本軍の恥ずべき行為を糾弾する主張ばかりが教育されたり、報道されたりしている。
「日本のために誇りを持って戦った」という主張の方を聞きたいのだ。
美しい国・日本」を創り上げて行くには、誇りと自身が不可欠だ。
後悔と反省ばかりで、恥ずべき日本しか知らない日本人が一体、どんな国を創るというのか。
そういう人間たちには、「美しい国(ウツクシイクニ)」が反転した、ニクイシクツウ=「憎いし苦痛」がもたらされるのではないか。