神威岳(中日高)その2

9月23日 晴れ
7:15 登山開始 
10:45 神威岳山頂
12:00 下山開始
14:45 登山口着

日高山脈の主稜線は、この神威岳で直角にLの形で折れ曲がる。
ここからはペテガリ岳の形もよく見えるし、1839峰〜ヤオロマップが誇らしげに聳える姿は圧巻だ。

西尾根の急な道を下っていると、右手の崩壊地でガサガサッと音がした。
ヒグマさんかエゾシカさんだ。
動きにキレがないので、エゾシカさんっぽくない。
20才の時にはこのあたりで、ヒグマさんに脅かされて引き返している。
きっとこの辺はヒグマさんがよく通る道なのだろう。
ニシュオマナイ川まで下りて、沢歩行に備えて深く息をつく。
清冽な流れの別天地。ここで焚き火しながら星空を仰ぎ見たいものだ。

下りの途中でムキタケを見つけて、にわかキノコ採り師になった。
満足して立ち上がって木にもたれかかると、ヒグマさんの新しい爪痕が刻まれていた。

縄張りの主張をしている。このムキタケもヒグマさんの好物だから、大事に育てていたものだったら大変だ。
そそくさと立ち去る。
この連休で大勢が神威岳に入っているかと思っていたら、全然だった。
今日は絶好の登山日和なのに3人だけ。
入山者名簿を見ると、9月は23日まででたったの22パーティーしか入山していない。
登山者が少なくなっているのか、神威岳の人気がないのか。
面倒な林道ゲートのせいで、敬遠されているのかもしれない。
浦河町のHPで林道が開通しているのを知って来た僕だって、ゲートを開けるのに鍵が必要になるとは分からなかったのだから。


ここ数日、まとまった降水がなかったおかげで水量が少なくて沢の渡渉もラクラクで、下りに3時間もかからなかった。
神威山荘に戻り、着替えているとすぐに2人も到着した。
林道ゲートの鍵を持っていない僕を気遣って、彼女たちもペースを乱されてしまったことだろう。
申し訳ないやらありがたいやら。


北広島から来た彼女たちは今朝2時半に起きて、登山の準備をして日高へ向かってきたそうだ。
どの山に登るか決めずに出発したというから恐れ入った。
とにかく日高方面に向かってきて、ポンヤオロマップ岳に行こうか、それとも・・・・と悩んでいる内に、この神威岳に登ると決めたとのこと。
それが林道ゲートで困っている僕を助けるかのように、ものの1分の違いで現れてくれたのだ。
もしポンヤオロマップ岳に行っていたらどうなっていたことか。


登山途中に見かけたヘリはやはり遭難者捜索に当たっていたものだった。
釧路に帰ってその捜索のニュースを見た。
翌日、遺体で発見されたとのニュースに変わった。

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■登山中に滑落か、札幌の医師死亡 日高山系 (09/24 23:34)
 【大樹】24日午後2時10分ごろ、十勝管内大樹町の日高山系ポンヤオロマップ岳(1406メートル)の山中で、札幌市--、医師堀川大さん(59)が倒れているのを捜索中のヘリが発見、病院へ搬送したが死亡が確認された。

 帯広署によると、堀川さんが倒れていたのは同岳山頂から西に約450メートル離れた地点。登山道から約100〜200メートル下で、同署は堀川さんが足を滑らせたとみて、死因などを調べている。

 堀川さんは18〜22日に同山系コイカクシュサツナイ岳からペテガリ岳を経由し、ポンヤオロマップ岳まで縦走する計画だった。予定をすぎても下山しないため、家族から捜索願が出され、同署などが23日から捜索を続けていた。

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登山歴40年の大ベテランが、長い長い縦走路を歩き終えてポンヤオロマップで滑落するとは信じられない。
一体何が起きたのだろう。

今回は女神たちがこちらの神威岳に「呼ばれた」格好になったようだ。
釧路の堀川町から堀川さんに合掌。