中国パセリ

goro3582005-03-05

あのヒ素カレー事件の騒動の裏には、とんでもないお手柄中学生が存在していた。
http://www.kobe-np.co.jp/tokushu/tiryoku/tiryoku_12.html より引用

60枚の報告/ヒ素事件追った中学生

 中学三年生が夏休みの宿題として書いたリポートが、世間を驚かせた。原稿用紙六十枚。テーマは和歌山の毒カレー事件。二年前の秋のことだ。
 東京に住む筆者・三好万季は「文藝春秋読者賞」を最年少で受賞。選考委員の一人、作家の渡辺淳一はこう評した。
 「何百人の警察や医師、マスコミの目より、少女の目の方がはるかに澄んで的確だった」
 リポートは、保健所や警察など事件にかかわった大人たちの無責任体質を鋭く問うていた。
 一つの症状にこだわり治療をミスリードした保健所。毒物中毒を疑いながら指摘し切れなかった医者…。「業務上過失致死の疑いがある」と結論付けた。
 追跡の手法はオーソドックスだ。新聞が伝える患者の症状とインターネットで調べた毒物中毒の症状を突き合わせた。警察より六日早くヒ素を特定した。
 「必要な情報を瞬時に集め、目の前の事態に立ち向かう。それがプロの仕事ではないのか」と万季。
 カレーを口にした人の多くは、すぐに吐き出していた。そこから食中毒との当初の報道に疑問を持った。夏休みを費やした調査が、見過ごされていた事実を浮かび上がらせた。

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 万季は二歳でパソコンに親しみ、三歳から毎日、地域の読書会に通った。「同じテキストを二百回は読んだ。私の基礎です」
 速読をマスターした。文庫本なら一日五冊、多い月なら四十冊は読む。
 そらんじるほど文章に触れた経験と豊富な読書が、彼女を優れた日本語の操り手にした。インターネットの検索は大好きな本屋あさりの延長に過ぎない。
 リポートは彼女自身をも揺さぶった。身の回りの小さな世界から、広い社会にかかわっていく手ごたえ。解き放たれたと感じた。それを「自由」と表現する。
 中学卒業後、希望の都立高校へ進学。自主性重視の校風で人気の伝統校だ。
 だが、と万季。「期待したのは自由自在。でも実際は責任を伴わない『自由勝手』だった」
 私語で成立しない集会。授業中の携帯電話。見て見ぬふりの教師。結局、一年で退学した。
 今、カナダ留学を目指して机に向かう。

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 「あのリポートには驚いた」と、京大大学院教授・筒井清忠。「あふれる情報に左右されない確かな目と、それを支える教養を感じた」と語った。
 筒井はこの「教養」にこだわりを示した。教養とは歴史や芸術、文学など幅広い人文的素養。土台として、人類の知の蓄積である古典に親しむこと、という。
 教養の衰退が招くのは知力の低下だけではない。相次ぐ警察不祥事や、核施設での事故にみられるモラルの崩壊も引き起こしている、と説く。
 「教養は人に、よく生きることを求める。それを、役に立たないと軽視する社会が衰退に向かうのは当然」
 万季。リポート発表直後、インドで二十万人が慢性ヒ素中毒に苦しんでいることを知った。専門書で香草(中国パセリ)に解毒作用があることを突き止め、国内の研究所に実験を依頼した。NGOと連携し現地栽培の道を探りたい、という。
 「口だけの人になりたくない。本当の知は行動で鍛えられる」。十七歳となった今の言葉だ。
 毎年夏、和歌山の遺族を訪ね仏前に手を合わす。将来の夢は医者になること。それもお年寄りに慕われる町医者になりたい。その声に気負いはない。

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 学ぶ、考える、楽しむ、調べる、こだわる、つくる、ひらめく、まとめる。知力をめぐり探し当てた言葉は素朴だった。基礎を固めた上で、実現に向け力を蓄える強い意志。そこに知力を見た。
 世紀をひらく力を見た。
(敬称略)

この記事中には出てこないが、彼女はO-リングテストを信頼し、その開発者の大村恵昭博士を尊敬していた。
それらの情報から中国パセリの有効性を見出した。
さらに中国パセリの錠剤を林原生物化学研究所が製造し、義捐提供した事実が書かれていない。
この偉大な物語を多くの人に知ってもらいたい。このブログにしっかり保存しておこう。