拾いもの「雨の日の少年」

えんぴつ彫刻

神爆笑.comで見つけたお話

雨の日の少年
ぼくは今年からこの小さな町に引っ越してきた私立中学1年。サッカー部。
サッカーが大好きで、部活の後もよく近くの公園でボール蹴ってる。
ある日、ぼくがいつも通り壁当てしてたら雨が降ってきた。
そして帰ろうとしたら、黒いレインコートを着た同い年くらいの男の子がいつの間にか公園にいて、引き止められた。
男の子「サッカーしようぜ」
ぼく「雨降ってるのに!?」
男の子「プロをみろよ。サッカーは雨でもやるもんだろ?一対一、やろうぜ」
ぼく「・・・三本勝負を一回やったら帰るよ?」
男の子「まあ、それでいい」

ぼくは完敗した。
悔しくて
「明日もここに来て!またやろう!」と叫んだ。
彼は黙ってうなずいて、帰っていった。
翌日、雨はすっかりあがったというのに、彼は来なかった。
それからずっとぼくはドリブル練習を公園で続けたけど、彼は来ない。
雨が降り始めた。
すると、彼が現れた・・・
ぼく「久しぶりだね。雨の日しか来ないのかい?」
男の子「ああ、おれにも色々事情があるんだよ。さあ、始めようぜ。」

ぼくはまた完敗した。
ぼく「今度は晴れてる日にやろう」
男の子「それは無理だ・・・」彼が話し始めた時・・・
雨が止んだ。
彼は「やべえ止んじまった!ダッシュで帰んねぇと・・・わりいな!」と言って、急いで帰ってしまった。

その子のことをお父さんに話したら、
父「五年前にこの辺りで車のスリップ事故があって、おまえと同い年くらいの子供が轢かれたらしいが・・・まさかなぁ・・・(笑)」
と笑っていたけど、ぼくはホントに漏らしそうになった。

雨の日が来た。彼も来た。
ぼくは勇気を振り絞って彼に話しかけた。
ぼく「噂で聞いたけど、君も大変らしいね・・・」
男の子「ああ、雨の日はいいんだけどな・・・」
ぼく「でもあんまり気にしなくていいと思うよ!」
男の子「晴れの日はホントに辛いんだ・・・」
ぼく「元気出せよ!!」
男の子「ありがとよ。プロになったらお前の事を、雑誌のインタビューとかで話してやるぜ。」
ぼく「楽しみにしてるよ」
彼とは雨の日には必ず会い、一緒に練習した。
名前も知らないけど、ぼくの秘密の友達になったのだ。

彼と出会って一年が経った頃だ。
地域新聞に彼の写真がアップで載っていた。そこにはこうあった。

『我等が町の希望、ジュニアユース○○、新人戦にてついに全国制覇!!!』(写真・・・勝利に涙する、キャプテンのT君)

『T君の話・・・雨が降ってない日以外は、毎日屋外での厳しい練習をこなし、遂にここまで上りつめる事ができました。
この勝利を、コーチと家族、そして公園でぼくの相手をしてくれる、雨の日の少年に捧げたいです。・・・中略・・・
6年前の事故の怪我が、ホントに軽くてよかったです。サッカーの神様に感謝しています。』

後に知ったことだが、この小さな町には事故で亡くなった人などいなかった

こういう話好きだなぁ。